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「男が育休取って人生が変わった」事例を紹介してきました

先日、富山大学にて「FIT2016 第15回情報科学技術フォーラム」という学会イベントが開催され、その中の「ダイバーシティ社会」をテーマとした企画セッションにおいて登壇およびパネルディスカッションに参加しました。

FIT2016イベント企画:ダイバーシティ社会に向けたワークプレースを考える

終了後、聴講くださった方々から思わぬ好評価をいただいたため、当日の発表資料を簡単な補足付きで公開しようと思います。

※パネルディスカッションの内容は、後日学会誌で取り上げていただけるとの事なので、そちらを楽しみにしています。


パート1:「男の育休」最近の世の中事情

ここでは「育休取得率とその実態」について、厚生労働省が公開している統計データから引用しています。

平成27年度雇用均等基本調査|厚生労働省
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男性の育児休業取得率(会社に育児休業の規定があり、育児休業を利用した人の割合)は、過去最高で「2.65%」らしいです。多いか少ないかは置いておいて、右肩上がりっぽい感じですね。



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別ページの「取得日数」に関するデータを見てみると、半数以上が「5日未満」という回答。
率直に「なんじゃそれ?5日間で育休?」と思ったんですが、「会社の育休規定」に該当すれば取得日数が1日とかでもカウントされちゃうんですねきっと。
個人的には「女性の活躍」を目的として「男性の育休取得」を推進したいなら、雇用保険の「育児休業給付金」支給対象となる「1か月以上」で測るのが妥当なんじゃないかなぁと思います。

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そんなわけで、勝手に「1か月以上の育休取得者」で割合を出してみたのですが、結果としては「0.45%」という数字になりました。これが現状です。


パート2:私の育児休業取得事例

ここからは、僕自身の育休にまつわる実体験を紹介しています。

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育休というか、育児に参加するようになったきっかけとか気付きとかは、だいたい下記のエントリにまとめているので、詳細はそちらをご参考。
quindim.hatenablog.com
育休取得のタイミングを「離乳食が始まる頃」にした理由は、一人目の時に「育児を手伝っていた立場(敢えてこう表現)」としても大変だと感じた時期だったから。そこに主体的に関わる事で、少しでも夫婦の負担を減らせると良いなと感じたから、というものでした。



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長期の育児休業を取る際の金銭的負担軽減策として、給付金以外に「期間中の社会保険料を全額免除」という支援を受けられます。
「育児休業給付金」は「月に10日未満の勤務」であれば給付対象になるので、当初は「週1で出社するスタイルにすれば、仕事でブランクが空く不安も和らげるかな」と思っていました。

ところがどっこい、「社会保険料免除」については就業日数についての明確な規定を持っておらず「計画的に就業するような場合は、復職と見なされて免除の対象外となる可能性が高い」という事が分かり、結果として僕は育休を「出社無しの全休」で取得する事になりました。

ちなみに「4か月の全休」を決めた時からしばらく「本当に大丈夫か?後悔しないか?」と一週間くらいずっとキャリアパスについて悩み続けた事を覚えています。



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その後は育休中の話になるのですが、もう少し具体的な内容についてはいくつかエントリに詳細を書いてあるのでそちらで代用。
【育休2日目】今日やった事を整理 - QUINDIMジンジン
【育休4日目】子供に向き合うためのカラダ作り宣言 - QUINDIMジンジン
最初の数日はブログを書く気力もあったのですが、その内に体力が徐々に擦り減っていき、だいたい子供の寝かしつけと共に僕も寝てしまうような日々が続きます。

食事は大変だった。家族の食事を準備しつつ離乳食も準備(写真はレンチン前の離乳食)。その後は離乳食を食べさせながら自分も食事をとるのですが、ゆっくり味わいながら食事できた事はほとんど無かった。
当時は妻と交代で料理当番をしていたので、作ってもらえる事のありがたみを心底感じました。



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給付金の支給がここまで遅れるのは想定外でした。そもそも給付金が「2か月ごとの申請」だったり「直近2カ月間の就業実績を通知する必要」があったり(すべて会社に代行していただきました。ありがとうございます。)と、事前にある程度遅くなる事は予備知識として持っていました。
ただ、僕の場合は「10月,11月分の育休申請を12月に役所へ実施」という形になったため、年末年始の色々と混み合う時期に初回の役所処理が重なり、結果として「給付金を受け取るタイミングが復職後」という残念なキャッシュフローになってしまいました。

「普通の料理」が出来るようになった、というのは誇張でも何でもなく、それまで手がけた料理と言えば「チャーハンか袋ラーメン」くらいで、食材を切ったり調味料を使ったり、という料理はほぼ経験無し。それが今では「味見をして、何の調味料が足りないかがある程度わかる」くらいにまで成長しました。
今ではイベント時の弁当もすべて僕が作るようになっています。


パート3:「男の育休」はひとつの選択肢

最後に、育休を経て感じた事をまとめています。

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冗談を抜きに、育休を経験して僕の人生は変わりました。
特に、日常的に料理をする習慣が身に付いたのはとても良かった。もし育休が無かったら極端な話、定年まで料理をする機会が無かったかもしれない。
そんな状態で定年を迎える事を考えるとゾッとする。どれだけ家事に無関心なままに妻へ依存する毎日を送ってしまう事になるのやら…。



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一人目が産まれる前に、育児関連の本を何冊か読んでいた記憶があります。その中に「子育ては夫婦でするもの」という記載があり、当時の僕は偉そうに「そうだよな、女性だけが子育てするわけじゃないんだ」なんて事を考えていました。
今思えば、その一人目の頃の「子育て」は「妻の作業の一部を代行する」レベルに過ぎなかったな、と感じています。いわゆる「手伝っている感覚」というやつですね。
もちろん、その時の僕としては必死に「子育てしているつもり」でした。しかし実態として、ほぼ何一つとして子育てを主導する行動は取っていませんでした。
(もちろん今でも「手伝っている」状態になってしまう事も少なくないですが…)
そんな事もあって、育休の経験はそれまでの「子育て」の概念を変えてくれるものになりました。



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「娘の将来を幸せにしたい」という点について。
たぶん、僕が今のような形で育児や家事に関与をしている事によって、娘さんにとっての「家庭における父親の当たり前の行動」のベースが「僕の普段の行動そのもの」になってくれているはず(きっと!)。
将来家庭を持つような時が来た際に、ベースラインをそこに持っておいてくれているだけで、娘さん自身も「対等な夫婦関係」を持つ家庭を築いて行ってくれる可能性は高くなるんじゃないかなぁ、と思っています。



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「女性にもっと育児を頑張ってもらうための制度」を拡充したところで、「更にもっと楽になってしまう男性、更に育児から関心が離れてしまう男性」を作り出すだけなんじゃないかなぁ、と思っています。
企業にしてみれば「自社の女性スタッフ支援に費用を投入しているのに、そのパートナーが勤務する他社が利益を享受する(楽になった男性がバリバリ働いて会社に利益貢献する)状況」を作ってしまう事になる。
今のまま「女性支援が中心」の方向で進んで行くと、あんまり嬉しい未来は待っていないんじゃないかなぁと考えるわけです。

じゃあ何をすれば良いのか?という話になるんですけど、そこは今後のお楽しみです。
むしろその部分について今後色々と行動範囲を拡げていきたいですね。

おまけ:妻によるレビュー

この発表スライドを作った後に、妻に一度内容のレビューをしてもらいました。感謝。
その時にもらったコメントを最後のスライドに掲載しています。けっこう生々しい内容で、世のお母さん方が「夫に育休を取ってもらいたくない」という判断に至ってしまうのも頷ける点が多いです。
やはり大事なのは「日頃からの夫婦間の信頼関係構築」なのかな。



最後に改めて、今回このような発表の機会をくださった産業技術大学大学院永瀬先生を始めとする関係者の皆さまに感謝します。